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人間の少女ケナーと甲虫の亡霊(違)ホズピタスの出会い。
・・が前回までのあらすじ(短
さてさてどうなるかな?







ケナーが伸ばした手は倉庫のドアにぶつかった。
目を覚ますケナー。

「・・・あれ?・・・やっぱり夢・・・こんなトコにカブトムシなんかいる訳ないしね」


すると倉庫の鍵が開き、ドアが開いた。
やっと光が入ってくる。


「こんな所で何やってんだい?」

そこには鍵を持った二人の男子生徒が立っていた。

「…あ~、その」


ケナーはとりあえずここまでの経緯を話した。



「へぇ、そいつらひでえ事しやがるな」
手前のちょっと美形な男子が言う。

「白いカブトムシが見えたとか・・・・腹の減りすぎじゃないんスか?」
奥のごつい男子が言った。


「そうかもね・・・」
ケナーはよろめきながら立ち上がる。

「立てるかい?」
美形な男子のほうがケナーを支える。

「あ、ありがとう」


「コイツを食うといいっすよ」
ごついほうの男子がポケットからなにやら取り出した。


「それは・・ウスコ社のビスケット!」
ケナーの大好物である。

「そーそー、俺んちで作ってるんすよ」
ごつい方がさらっと言ってのけた。


「自己紹介がまだだったな、この俺はボールド。まあ、ただの生徒だけどね
・・・で、こっちのゴツいのがトップ。ウスコビスケットの社長の息子なんだぜ・・・俺が自慢することじゃないけど」
美形なほう、ボールドが言った。

「私はケナー、ケナー・ポマレリ。・・・ところでトップ、ウスコ社の息子って本当?」

「俺はウスコのムスコ、なーんすって」

「それはもう聞き飽きたし・・・でもコイツの親父は確かにビスケットを作ってたぞ」

「今は工場で焼いてるんすけどね・・・っと、話がそれた」

「こんなに身近にいたなんて驚きね…ところで今、何時間目?」
ケナーがふと思い出し聞く。

「もう放課で掃除の時間だぜ?」
ボールドが答える。

「えぇー!私、一日中この倉庫の中に閉じ込められてたの・・・?」

「そいつぁ気の毒だな、どうせあの先公に話したってサボり扱いで減点食らうぜ。
見つかる前に早いとこ帰った方が良さそうだぞ」

ケナー、ボールド、トップの三人は体育館をこっそり抜け出し、外に出た。

「体育館掃除はいいの?」

「毎日やってるし、気づかれないっすよ」

校門へ向かう3人。

しかしそれを見ている奴等がいた。


「ねぇハミング!ケナーがボールド君と一緒にいるわよ、ほっといて良いの?」

「良いわけないでしょ・・・」
ちょうど外にいたハミングがケナーを睨む。

「どうする?先生にチクる?」
近くの女子がハミングに聞く。

「そんな事したらボールド君が巻き添え食うでしょ」
ハミングはそう言うとケナーに向かって歩き出した。
つられて周りの女子も近づく。


「ちょっとケナ・・・」
ハミングは話しかけようとした。




その時、爆音とともに校舎の窓が吹き飛んだ!!

「な、何!?」

一斉に振り向くケナー達。
ケナーの目には、後ろから近づいてきたハミング達よりも、ずっと恐ろしいものが映っていた。

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「学校にアームヘッド!?」

上空から飛来してきたのは帝国のアームヘッド・ブートンである。
ブートンは着陸するなり、銃を乱射し、大砲を轟かせた。


それらは校舎、グラウンドをえぐり、破壊していく。


「暴れまわってやがる!早く逃げなきゃ殺されるぞ!」
ボールドはそう言うとケナーとトップを引っ張って走り出した。
ハミング達はすでに他の場所に逃げたようだ。


「逃げるったって、何処に逃げてもつぶされちゃうっすよ!」
トップが言う。


ブートンの銃口はこちらに向けられた!

このままでは殺される!


その時、ケナーの頭にあの白いカブトムシの事がよぎった。
そんな事を考えてる暇じゃないのに!
でもカブトムシは言っていた、私に死なれては困ると。それなら・・


「”カブトムシ!どうすれば私達は助かるの!?”」

ケナーは頭の中でカブトムシに話しかけた!



”二つ目の黄色い箱だ”


なんと答えが返ってきた。

「黄色い箱・・・ボールド!あの郵便トラックに隠れて!」
「分かった!」

3人は郵便トラックの荷台に飛び込んだ!


「かくれんぼか・・・おもしろいねぇ」
ブートンのパイロットは遊んでいた。
もともと任務は暴れまわって敵AHをおびき出して戦う事だったからだ。


ブートンが3人に近づいてくる。
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「なあケナー、ここヤバくないか?」
荷台の窓からはすでにブートンが見えていた。

「私も不安なんだけど・・」




「ここかなぁ~?」
ブートンがロードスイーパーを踏み潰し、銃を乱射する。

ケナー達の恐怖心は次第に大きくなっていった。



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「空っぽか!」
ブートンが持ち上げたロードスイーパーを握り潰す。

そして威嚇か、大砲を体育館にぶっ放す。
やりたい放題である。



「バレバレだぜ、ガキ共」
ブートンは郵便トラックをひっくり返した!


「キャー!」
ケナー達はトラックの荷台の中で回った。
すでに死がそこまで来ている。



しかしブートンは動きを止めた。
近づいてくる別のエンジン音に気づいたのである。

「やっとお出ましか」


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空からは黒いAHが降りてきた。
連邦の試作型アームヘッド・エマール。


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エマールは着陸するなり、ブートンの投げようとしていたロードスイーパーを切り裂いた。

「何ぃ?」

ブートンが無理矢理接近戦に挑む。
エマールもそれに答え、武器が何度も交差した。

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「甘いぜ連邦さんよぉ!」
ブートンのパイロットは隙を見て急接近!
そのまま大砲をぶっ放した。

しかしそれが裏目に出た。反動で程よい間合いが出来てしまったのだ。


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ビジィ!

エマールの一閃がブートンを切り裂く!

「はぁ?冗談・・・だr」
ブートンはそのまま火花を上げ、グラウンドに倒れこんだ。




ケナー達は、お互いが生きている事を確認して一息ついた。

「あ、危ねぇー」
「ギリギリセーフッすね」
「死ぬかと思ったわ」

「俺、体育館に逃げようと思ってたんだ・・・でも行かなくて良かった」
「俺はスイーパーに隠れようと思ってたんすよ」
それぞれ口々に言う。
ケナーはカブトムシの事が気になった。なぜ誘導を?





ケナーは家に帰って、今日の事を母に話した。
悲しげな顔をして話を聞いていた母だったが、カブトムシの話をするとちょっと険しい顔をした。
何か思い当たるものでも?しかしケナーは聞かずに部屋に戻った。


ベッドに座り、考え込むケナー。
思いきってもう一度カブトムシに話しかける事にした。


「”ねえカブトムシ!”」
頭の中で言葉を強く意識する。


”我はホズピタスだ”
エコーがかかった声が頭に響く。



「”じゃあ・・ホズ!あなたは一体何者?”」


”我は太古の者 現在は命の核となりて眠っている”


「”良く分からないけど・・・なぜ私を助けたの?”」

”お前が必要だからだ 奴を・・憎きデデバリィを倒すにはな”


「”もしかして・・・コレ?”」
ケナーは棚から古い図鑑を引っ張り出して、珍獣のページを指差した。



”それは奴の直系の子孫に当たる生物”

「”なるほど、あなたの言うデデバリィっていうのは大昔の生物なのね”」


”守る理由・・・ それは我が「リムーの守護者」であること”

「”・・・??また良く分からない言葉が・・・”」


”多くを知る必要はない・・・だが話しておく必要はある
 我らリムーの守護者には 「獣・虫・爬・魚・鳥・甲」 が存在していた
 我ホズピタスは「虫」、デデバリィは「獣」に当たる
 しかしデデバリィは我らを裏切った 
 奴も命の核となり・・ 今も生き延びている
 奴を消し・・ 我が種を守らなければならない”


「・・・・・・・」

疲れが溜まっていたケナーはすっかり眠ってしまった。





”我らが再び戦う時は近い・・・デデバリィよ・・何処に居るのだ”



つづく…

by kozenicle | 2008-11-01 00:28 | デデスト外伝:メトロノーム

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