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2010年スト初更新。
実は第1話は2008年の記事なのよね…メトロノームもあったから長引いたけど
まあ今年中には終わると思います








トマスのドリガブーンが帰還して来ないので研究所のメンバーは捜索を始めた。
そう離れていない荒地でドリガブーンの残骸が発見され、トマスはデデバリィのコアと共に回収された。

「どうやら無傷みたいだ。気を失っているようだが…」
マクタスがトマスをジープに乗せながら言った。

「とりあえず一安心だわね。でも、あのアームヘッド、何者だったのかしらん?」
ミスターGは運転席から灰色の空を見上げた。

「分からない…とにかく、敵である事は確かだ」
マクタスの返答にミスターGは少々がっかりした。

「アームコアとパーツの回収、終わりやした」
ブレジンがガヅガのコクピットから言う。

「ご苦労様、急いでトマス君を救護室に運びましょ」
ミスターG はそう言い、ジープのエンジンを噴かした。


研究所のメンバー達にとって、トマスの敗北は意外だった。
1機でバンシールやホズピタスを退け、新型のコトレインを4機も撃墜していたので、
トマスの開発技術などはほぼ完成したものになっていると思っていたのだ。
しかし今回は、一撃も当てる事が出来ずに戦いが終わった。


「トマス、大丈夫でしょうか」
メアリーがガヅガの整備をしながら言った。

「アイツの事だ、今ごろ起きてるんじゃねーの?」
ブレジンも慣れない整備をしながら返す。


「でも、カマキリの時みたいにおかしくなってたら…」

「お、心配してるねぇ?今すぐ救護室に見舞いに行ってやるといいと思うぜ?」
ブレジンがからかうように言った。

「…別にそういうつもりじゃないですけどぉ…」
メアリーが呆れたように返す。


「ツンっていう……あイタッ!」
ブレジンはよそ見をしながら機械をいじっていたので指を浅く切った。

「あぁ、そこはこうするんですよ」
メアリーはブレジンの横から割り込んで機械を器用に直し始めた。


「…何か、似てるぜ。お前とトマスって」
ブレジンはニヤついて言った。

「え?そうですかぁ?……向こう側の整備終わったんで、戻っててもいいですよ?」
メアリーは修理を終わらせ、機械の蓋を閉じながら言った。


「そういう仕事が早い所と、あっさりしてる所だな……
あ、オレの怪我を治すより機械を直すの優先っていう気が利かない所もな!」

ブレジンが再びからかうように言う。


「バンソウコウでも取って来ましょうか?」
メアリーが言った。

「救護室に行く理由が出来たな?OK、オレも行くぜ」

「自分で行くなら私は行かなくていいんじゃぁ?」

「細けぇ事ばっかり気にする所も似てるぜ!」
ブレジンは救護室へと歩を進めた。



トマスは救護室のベッドで静かに目覚めた。

「…生きてるのか…あの時、敵のホーンはコクピットを狙ってたはずなのに、当たる時には大きく逸れてた…まさかデデバリィが…?」

トマスは独り呟く。
四肢を見渡して、ほとんど怪我をしていないことに気づいた。

「二度もデデバリィに命を救われたわけか…感謝しなきゃなのかな」

トマスにはデデバリィの目的がよく分からなかった。
本来の仲間であるホズピタスを裏切ったと仮定して、なぜ自分達人間を助けたのか?
そしてそれよりも気になる事があった。


「アームキルされる直前にデデが言った事が本当なら、僕はリムーの末裔・・・? 
裏切者のデデバリィがなぜホズピタスを止めようとしているんだ・・・・
それがリムーの意思ってことなのか・・・
ホズピタスを止めてまでその調和者を助けるという事は・・・調和者もリムーの末裔・・・?」

トマスは色々考えた末、デデバリィは絵本のような只の悪者ではなく、何らかの正しい理由の下で行動しているのだと思った。


しばらくしてドアが開き、メアリーとブレジンが顔を出した。

「ほら、オレの言った通りとっくに起きてただろ?」
ブレジンが相変わらずの態度で言った。

「怪我は無い?トマス」
メアリーが尋ねる。

「幸い、少しの擦り傷だけで済んだよ」
トマスはそう言い、上体を起こした。

「じゃあバンソウコウ探すわね」
メアリーは棚の中を探し始めた。


「へっ、オレの援護無しで生き延びるとは、かなり運が良いぜお前」
ブレジンはトマスに近づき言った。

「今回もデデバリィに助けられたんです」
トマスは、メアリーに聞こえないよう静かに言った。

「そうか、デデバリィの事は何か解ったか?」
ブレジンも小声で返した。

「まだハッキリとは…でも少し解った気がします」

「何が?」

「デデバリィはきっと、自分自身の罪滅ぼしの為にホズピタスを止めようとしてるんだ、と考える事にしたんです」

「へー、デデバリィが裏切ったのを真実だと認めちまった訳か」

「デデは昔は裏切者だったかもしれないけど、それでも今は、自分のせいで復讐の鬼になった仲間を救おうとしてるんだ、って信じてる」

トマスはブレジンに解るようにそう言ったが、内心では目的はそれだけでなくリムーの末裔を守るのも目的なのではないかと読んでいた。

トマスはとりあえずそれが真実だと思いたかった。
そう思わなければ、単なる裏切者ではないと思いこまなければ、これからの戦いにも支障が出てしまうだろうし、手を貸し続けるのも嫌になってしまうだろう。

「てことは、今の所は裏切者デデバリィの味方をするわけだな」
ブレジンはニヤついて言った。

「一応、そうですね」
トマスもあまり良くない返事を返した。


「あ、あったわよ」
メアリーが救急箱に埋もれた絆創膏の箱を掘り出して言った。

「悪いね」
トマスが言い、メアリーは箱を手渡した。

「貼ってあげないんだねー?」
ブレジンがからかって言った。

「この位自分で貼れますよ」
「私、保健室の先生じゃないですから」
二人はほぼ同時に言った。



「保健室…いい響きだぜ…なんちゅうか、学校で喧嘩しまくってた幼きあの頃を思い出すぜ」
ブレジンはふざけた風に、ちょっと懐かしむ感じで言った。

「ここにいる私達にも、学校に通ったり保健室にお世話になってた時代があったのよね…」
メアリーものって遠い日の事を思い出していた。

「…保健室って、どんな所です?」
突然トマスが言った。

「え?」

「はぁ゙ん?…あぁ、お前は昔から運が良くて怪我しなかったから知らねぇのか?まあ、救護室と同じようなもんだぜ」
ブレジンは軽く説明し、やはりトマスは変わったヤツだと思った。

「そうなんですか」
トマスはどうも思い出せないような仕草を見せて言った。

「…さて、そろそろトマスの目が覚めた事を知らせに行きましょう」
メアリーはそう言い、トマスの持っていた箱を受け取ると棚に戻した。

「ちょい待ち、オレはまだバンソーコー貼ってないぜ」
ブレジンが突っ込むように言った。

「血、もう固まってますよ」
メアリーはそう言って棚を閉じた。

「はぁ゙ん!?…あらホント」



あの時デデバリィには自分を助けるなと言ったが、
今のトマスには、こうして生きて仲間と話せる事が、何だか幸せに感じた。

by kozenicle | 2010-01-09 18:26 | ストーリー:デデバリィ

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