ぶっちゃけサブタイ関係ないっぽいな(殴蹴





コンテナを担いだエマールは、ケナーの町を飛び立ってリズ連邦の端っこまで向かっていた。


「…こちらダガピッツア、ケナー・ポマレリを無事保護」

「扱いは慎重にな」



ケナーはコンテナが揺れた際、頭をぶつけて気絶しそのまま眠っていた。

いくつかの夢を見ていた。

一つは家族との思い出、一つは辛い出来事、一つは友達の事・・・
短い間に幾つか見ていたが、最後の夢で急に真っ暗になった。


ケナーは暗闇の中を漂っていた。そしてそれは夢や幻覚だと認識できた。
まるでホズピタスが現れた時と同じだった。


暗闇に橙の目が光る。

”「あなたは・・・ホズピタス?」”
ケナーが問う。


”貴様がリムーの…”

橙の目から聞こえる声は、厳しい女性の声のようだった。

橙の目はこちらに近づいてくる。
その姿が少しずつ明らかになった。


鮫のような頭、エイのようなヒレ、全身にちりばめられた鱗で出来た鎧。
ケナーはそれを、ホズピタスと同じく古代の生物だと認識した。


”「ねえ、ホズピタスって・・・知らない?」”


”リムーの血統も堕ちたものだな…”
橙の目の魚類はそう呟いた。

ケナーはその反応が腑に落ちなかった。

”「会っていきなりそれは無いでしょ…リムーとかって、一体何のことなの?」”


”知らないとはな…”

”「ええ、ホズピタスもほとんど教えてくれなかった…」”


”時間が無い、一つ教えておく 私の名はゾムエイル”


橙の目の魚類はそう言うと、暗闇の中へ飛び込んでいった。




ケナーが目覚めると、そこは見知らぬ部屋だった。
窓から見えるのは見知らぬ景色。

「えっと、たしかコンテナに入って・・・」

ケナーが混乱していると、部屋に数人が入ってきた。一人に見覚えがある。


「お目覚めのようね」
研究員の服装をした女性が言った。

「ここは…まあ、リズ連邦の研究施設のようなものだ。規模は小さいがな」
隣の若い軍服が言った。

しかしケナーの目線は、その隣のパイロットスーツ男に向かっていた。


「…久しぶりだな、ケナー」

親戚の冷酷な男・ダガピッツア・リムーである。
しかし前に会ったあの時より、ずっと優しそうな顔をしていた。
一体何故ここにいるのか?

「あ、あの…」

「拉致みたいな形になっちゃってすまなかったわね。でも私達にはあなたの力が必要なの」
研究員の女性が言った。

「私が…?ダメよ、こんなこと言うのも変だと思われるかもしれませんけど、私と居るときっと皆不幸な目にあうわ」
ケナーは言った。

「それは好都合ね、私達はその不幸を求めているの」
研究員は軽く言った。

「どういう事…?」

「詳しい事は私から話しておく、君らは外へ出ていてくれ」
親戚・ダガピッツアが言った。

「リムー族同士の話し合いってトコですか。では」

研究員と軍服の二人は部屋から出て行った。

部屋にはケナーとダガピッツアが向かい合っていた。


「驚かしてしまって済まない。私は君の親戚であり、
アームヘッド・エマール一号機のパイロット・・・言っても解らないか・・・・ダガピッツア・リムーだ。」

ケナーは怯えていた。あの時あんなに怒っていた男がこうもあっさり話しかけてくるとは。

「私と君はその・・・・厄介な先祖の血を受け継いでいるんだ。
私は君の母、マニー・ポマレリつまりマニー・リムーの兄だ。」

ケナーは不思議に思った。ついこの前言ってなかったか?


「私と君は軍の研究に貢献できる。だから私はエマールに乗り、君を救う必要があった。」


「それじゃあ・・・学校やデパートで襲われたあの時も?」
ケナーはやっと口を開いた。

「そうだ。君を探すのは難しかったがね…」

「・・・え、でも、私の家で保護者役をしてましたよね?」


「していないが」


「??」
ケナーは混乱した。絶対に居たはずなのに…


「私を叱って、家に帰ってくるなって・・・」


「何?覚えが無いが?・・・またヤツの仕業か・・・」
ダガピッツアは最後の方をもごもごして言った。


「さっきなんて言いました?」
ケナーは何となく話しかけ易くなった気がして聞いた。


「知る必要は無い・・・少し、研究を手伝ってもらうだけでいいんだ」
ダガピッツアは部屋を去る準備をしていた。


「待ってください!知りたいんです・・・リムーとか、ホズピタスとか、デデバリィとか、ゾムエイルとか・・・」

ケナーはゆっくり言った。


「・・・・すでに遅かったか・・・いや早かったが」
ダガピッツアは残念そうな顔をした。


「頭の中に、おかしなカブトムシやサメが浮かんでくるんです・・・」
ケナーは不安そうに言う。


「・・・・いいかい、まず君と私の先祖は リムー族という少数民族なんだ。
細かい事は解っていないが、最初のリムーは6匹の古代生物と深い関わりがあったらしい。

君に語りかけてくるのはその6匹の内のどれかの意思だろう・・・。

私にも来る。ゾムエイルからな・・・。」


「ゾムエイル・・・?魚みたいな?」


「そうだ。生物学上の存在は判明していないが・・・
私に語りかけ、私の中に入ってきているのは事実だ。

すまない、ケナー。
君に厳しくあたったのは、恐らく・・・私の中のゾムエイルの人格だ。

気をつけろ・・・奴等は人間の感情のどれか一つが高ぶった時に侵入してくる。
私の場合は・・・リムーの血を守らなければいけない使命感・プレッシャーが全開になった時に来た。
気が付いたらいつのまにか知らない場所でエマールのコクピットに居たよ・・・

研究によると、侵入された人間が感情のコントロールを失うと、
奴等がその人間の感情のコントロールを乗っ取り、支配するようだ。
この世で人間を利用するのは何か、目的があるのかもしれない・・・

君も気をつけろ、ケナー」


ダガピッツアはうつむいて言った。



「でもホズピタスは、悲しんでいた私を乗っ取りはしなかったわ」
ケナーは答えた。


「危なかったな、ゾムエイルからの話によると、ホズピタスは6匹の中でもタチが悪いらしい。
人間に一番恨みを持っているとか何とか・・・」
ダガピッツアは手元のフォルダーを眺めて言った。

「でもホズはデデバリィを恨んでるって・・・」
ケナーは訳も分からず言った。


「デデバリィについてはゾムエイルから聞いている。裏切り者らしい。
何やら、そのおかげで古代からほとんど進化していないデデバリィの子孫が現在も生息してる・・・」


「ホズやゾムエイルは何処から話しかけているんでしょう・・・」
ケナーは窓の外を見つめていった。


「ゾムエイルはすぐそこにいる。…格納庫の私のエマール、そいつのアームコアだ」
ダガピッツアは答えた。

「そんな近くに?じゃあホズピタスも・・・」


「分からない。だが、彼らを見つけたのは君の父、セルゲイ・ポマレリだ。
何でも、生物研究の果てに見つかったらしいんだが・・・」


「父さんが?」
ケナーは急に父が話題に出てきて複雑な気分になった。


「喋りすぎたな・・・。おっと、ケナーにはしばらくここに住んで働いてもらう。
リムーの話を知ってしまったとあれば不用意にここから出すわけには行かない」

ダガピッツアはそう言うと、部屋を出て行った。


「私、ここに住むの・・・?」
ケナーは呟いた。





それからケナーの生活は激変した。
焦げた町を歩いた時の飢えはもう無い。
満足に食事を取り、研究の手伝いをし、学校代わりにアームヘッド関係の研修をさせられ
軍事関係には嫌でも詳しくなっていった。

ダガピッツアとの関係もすっかり打ち解けた。
あの時厳しかったのはやはりゾムエイルに乗っ取られていただけのようだ。

ケナーの心は少しずつ安定して行った。
自分が居ると周りが不幸、その呪いのような考えが覆されたからである。
家族との永遠の別れの悲しみも、少しずつ薄れていった。
数ヶ月たってもホズピタスからの交信は無く、忘れかけていた。



施設で働くようになってから、2年近く経った頃だろうか。
ケナーは正式にリズ連邦の軍人とされていた。


そんなある日の事。

「この辺りの帝国軍が活動を始めたようです、新しく3人増援が赴任してきました」
研究服の女性が言った。

ケナーは人が増えるのには慣れていたので関心を示さなかった。
しかし今回は?


「ボールド・ポイツです。宜しくお願いします」

「トップ・ウスコっす、宜しくお願いしまっす」

「ピィフウル・フラグーンと言います。お世話になります」


ケナーは驚いた。
何故ボールドとトップが!?

そして3人目の女性もどこかで会った気がした。


ケナーが驚いていると、自己紹介が済んだ3人がこちらに来た。

「超久しぶりっすね、ケナーさん!」
トップは二年前と少しも変わっていなかった。

「ケナーも連邦に拉致されてたとはな、びっくりだぜ」
二年間思い続けた、愛しい人?ボールドも元気そうだった。

「ええ、二人に会えるなんて、夢にも思って無かったわ・・・」
ケナーは幸せだった。しかし軍施設の中で再会とは・・・。


ケナーの目に3人目の女性が留まった。

「あの、フラグーンさんでしたっけ、何処かでお会いしませんでしたか?」
ケナーは思い切って聞いた。

「いいえ、初めてです。宜しくお願いします」
ピィフウル・フラグーンは礼儀正しく言った。



「とりあえず、再会記念っすね。ビスケットで一杯やりましょう・・・ピィフウルさんも来ます?」
トップがそう言い、4人は廊下を歩き出した。



それからケナーの日常は楽しくなっていった。
軍で楽しくやるというのも不思議な話であったが・・・。

トップはいつも通りで、ボールドとの恋も少し進展した。ピィフウルとは女友達のようになった。

しかし仕事は、研究主体から機体整備などに変わり、徐々に実戦の方向へと傾き始めていた。
戦う時は近いのだろうか。ケナーは身震いした。



そして時は来る。


ある日白衣の女性から伝えられた。

「ダガピッツア・リムーの死亡を確認しました」
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by kozenicle | 2008-12-08 22:31 | デデスト外伝:メトロノーム | Comments(1)

Commented by nitro333 at 2008-12-09 17:59
ダカピッツァさん登場してぜんぜん経っていないのにしんじゃった・・・
ゾムエイルはどうなったんだ?
もしやダカピッツァさんと共倒れ・・・?
そしてホズは・・・?
これからどうなるんだ?

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