第3話:初仕事
2008年 07月 08日
「仕事って・・何ですか?」
「・・君には敵の意表を突くようなアームヘッドを作ってもらいたい。」
「は、はぁ」
「最近見た目でインパクトを与える機体がいるが、それだけでなく特殊な性能・攻撃方法を持つ機体を作ってもらいたいのだ。・・・この時みたいにね」
ロン毛工場長はそう言うと、何やら設計図のようなものを開いた。
トマスはそれに見覚えがあった。
「・・・あ!それは僕がテスト用紙の裏に書いた落書き・・・」
「そう。君がここに呼ばれたのはこれがきっかけなのだ・・・・君の恩師が軍に紹介してくれたのだよ」
トマスはちょっと複雑な気分になった。あくまで理想系?として書いたアームヘッドの設計図をこんな形で見ることになるとは。
「引き受けてくれるか?」
「はい。やってみます・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・とは言ったものの、どうすればいいんだろ・・・」
トマスは休憩所で考え込んでいた。
「こんなの作れるわけ無いのに」
その設計図には特徴的な武装などが書いてあったが、全てまとめて1体のアームヘッドに適用することはまず不可能であった。
「どうしたの?」
そういって来たのはメアリーだった。
「いや、どうしようかと思って」
「分からなくてもまず行動よ。工場に行きましょ」
トマスはとりあえず行ってみることにした。
工場の倉庫の中には、鉄くずやパーツやら何やらが積み上げられていた。
「何ですかこれ?」
「これを再利用してアームヘッドの本体を作るのよ・・・溶かせばいくらでもあるわ」
「リサイクルか・・ところでアームコアは?」
「アームコアは3,4体分位しかないわ。でもあくまで試作だからそこまで問題にはならないですけど。」
「あと1体分あるということか・・・じゃあ頑張ってみます」
「OK、じゃあ本体の製作は手伝うわね」
トマスは休憩室に戻ると、設計図をまた書き始めた!
デザインを修正し、実現できないところはとりあえず省き、また新しい機能を考える・・・
その繰り返しだった。
計画の一つにアタッチメント式・・つまり腕につける武器を自由に変更できるというものがあった。
「これは採用しよ」
他には調和能力でビーム兵器を操るとか脚をブースターに置きかえるだとか書いてあったが無理そうなので省いた。
「これだけだと何か足りないんだよなぁ・・」
そんな事を呟き歩いていると、今度は青手袋のブレジンが来た。
「お、ガキじゃねーか」
「僕はトマスですって」
「へん、こんな事をいうのも憎くてしょうがねーが、てめーと俺の寝室は同室になった」
「えぇ~」
「あ?それはこっちのセリフだぜ」
「う・・・・」
「へッ!ますます気に食わない野郎だぜ」
ブレジンはそう言うと、噛んでいたガムをトマスの足元に吐いた。
べジョ!
「あ!・・・・・」
トマスはガムを踏んでしまい、取ろうとしてもなかなか取れない。
「へへ、よく洗うんだなガキ」
「・・・・・これだぁ!・・・・」
「はぁ?」
トマスはまた机に向かうと設計図を書き始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「出来ました!」
トマスはそう言うとメアリーに設計図を渡した。
「これは腕が鳴るわね・・・作りましょう」
トマスは先輩達から作り方を学び、教えてもらいながら、しだいと完成まで進めていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後・・・
「これで本体は出来たわね」
「はい。これも皆さんのおかげです」
「デデバリィは基本新入りに優しいのよ」
しかしトマスには一つ引っかかることがあった。アームホーンが無いのである。
「後はアームホーンね」
「あのー、アームホーンてどこで作ってるんすか?」
「あら、知らなかった?あなたの言う刀の人、シンゾウさんの所よ」
「え!?(あんな無口の人のところに行くのか・・・)」
トマスは恐る恐る薄暗い部屋に入っていった。
「失礼しまーす・・」
するとやはり刀を持った男が後ろを向いて座っていた。
「あのー、アームホーンを作ってもらいたいんですが・・」
「・・・・・」
「ダメですか?」
「・・・・・」
「お願いします」
「・・・・・」
「初めてのアームヘッドなので・・どうしても完成させたいんです!」
しばらくすると男が動きを見せ、口を開いた。
「・・・・そうか・・・・」
「はい、お願いします」
「・・・・・君にだけ言うが、変な話だが実のところ私は、軍人達がホーンを作れ、ホーンを作れと当然のようにしつこく命令してくる態度に嫌気が差していたのだ・・・・・君のように「頼み」にくる奴は久しぶりだ・・・・」
男は低い声でゆっくりと喋った。
「そうなんですか・・・・」
「・・実を言うと、すでに新しいホーンは作ってある・・いつか君が作れと言いに来ると思ってな」
「え?」
「・・・持って行け・・。もっとも手じゃ無理だけどな・・・俺はシンゾウ。頭の隅に置いておくといい」
「あ、有難うございます!」
「・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてトマスは青いアームヘッドの前に立っていた。
「・・君には敵の意表を突くようなアームヘッドを作ってもらいたい。」
「は、はぁ」
「最近見た目でインパクトを与える機体がいるが、それだけでなく特殊な性能・攻撃方法を持つ機体を作ってもらいたいのだ。・・・この時みたいにね」
ロン毛工場長はそう言うと、何やら設計図のようなものを開いた。
トマスはそれに見覚えがあった。
「・・・あ!それは僕がテスト用紙の裏に書いた落書き・・・」
「そう。君がここに呼ばれたのはこれがきっかけなのだ・・・・君の恩師が軍に紹介してくれたのだよ」
トマスはちょっと複雑な気分になった。あくまで理想系?として書いたアームヘッドの設計図をこんな形で見ることになるとは。
「引き受けてくれるか?」
「はい。やってみます・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・とは言ったものの、どうすればいいんだろ・・・」
トマスは休憩所で考え込んでいた。
「こんなの作れるわけ無いのに」
その設計図には特徴的な武装などが書いてあったが、全てまとめて1体のアームヘッドに適用することはまず不可能であった。
「どうしたの?」
そういって来たのはメアリーだった。
「いや、どうしようかと思って」
「分からなくてもまず行動よ。工場に行きましょ」
トマスはとりあえず行ってみることにした。
工場の倉庫の中には、鉄くずやパーツやら何やらが積み上げられていた。
「何ですかこれ?」
「これを再利用してアームヘッドの本体を作るのよ・・・溶かせばいくらでもあるわ」
「リサイクルか・・ところでアームコアは?」
「アームコアは3,4体分位しかないわ。でもあくまで試作だからそこまで問題にはならないですけど。」
「あと1体分あるということか・・・じゃあ頑張ってみます」
「OK、じゃあ本体の製作は手伝うわね」
トマスは休憩室に戻ると、設計図をまた書き始めた!
デザインを修正し、実現できないところはとりあえず省き、また新しい機能を考える・・・
その繰り返しだった。
計画の一つにアタッチメント式・・つまり腕につける武器を自由に変更できるというものがあった。
「これは採用しよ」
他には調和能力でビーム兵器を操るとか脚をブースターに置きかえるだとか書いてあったが無理そうなので省いた。
「これだけだと何か足りないんだよなぁ・・」
そんな事を呟き歩いていると、今度は青手袋のブレジンが来た。
「お、ガキじゃねーか」
「僕はトマスですって」
「へん、こんな事をいうのも憎くてしょうがねーが、てめーと俺の寝室は同室になった」
「えぇ~」
「あ?それはこっちのセリフだぜ」
「う・・・・」
「へッ!ますます気に食わない野郎だぜ」
ブレジンはそう言うと、噛んでいたガムをトマスの足元に吐いた。
べジョ!
「あ!・・・・・」
トマスはガムを踏んでしまい、取ろうとしてもなかなか取れない。
「へへ、よく洗うんだなガキ」
「・・・・・これだぁ!・・・・」
「はぁ?」
トマスはまた机に向かうと設計図を書き始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「出来ました!」
トマスはそう言うとメアリーに設計図を渡した。
「これは腕が鳴るわね・・・作りましょう」
トマスは先輩達から作り方を学び、教えてもらいながら、しだいと完成まで進めていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後・・・
「これで本体は出来たわね」
「はい。これも皆さんのおかげです」
「デデバリィは基本新入りに優しいのよ」
しかしトマスには一つ引っかかることがあった。アームホーンが無いのである。
「後はアームホーンね」
「あのー、アームホーンてどこで作ってるんすか?」
「あら、知らなかった?あなたの言う刀の人、シンゾウさんの所よ」
「え!?(あんな無口の人のところに行くのか・・・)」
トマスは恐る恐る薄暗い部屋に入っていった。
「失礼しまーす・・」
するとやはり刀を持った男が後ろを向いて座っていた。
「あのー、アームホーンを作ってもらいたいんですが・・」
「・・・・・」
「ダメですか?」
「・・・・・」
「お願いします」
「・・・・・」
「初めてのアームヘッドなので・・どうしても完成させたいんです!」
しばらくすると男が動きを見せ、口を開いた。
「・・・・そうか・・・・」
「はい、お願いします」
「・・・・・君にだけ言うが、変な話だが実のところ私は、軍人達がホーンを作れ、ホーンを作れと当然のようにしつこく命令してくる態度に嫌気が差していたのだ・・・・・君のように「頼み」にくる奴は久しぶりだ・・・・」
男は低い声でゆっくりと喋った。
「そうなんですか・・・・」
「・・実を言うと、すでに新しいホーンは作ってある・・いつか君が作れと言いに来ると思ってな」
「え?」
「・・・持って行け・・。もっとも手じゃ無理だけどな・・・俺はシンゾウ。頭の隅に置いておくといい」
「あ、有難うございます!」
「・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてトマスは青いアームヘッドの前に立っていた。
by kozenicle | 2008-07-08 18:37 | ストーリー:デデバリィ